Tuesday, October 12, 2010

生真面目

 ジムは決して遅れることはありませんでした。デラは時計の鎖を手の中で二重に巻き、彼がいつも入ってくるドアの近くのテーブルの隅に座りました。やがて、ジムがはじめの階段を上ってくる足音が聞こえると、デラは一瞬顔が青ざめました。デラは毎日のちょっとしたことでも小さな祈りを静かに唱える習慣がありましたが、このときは「神さま。どうかジムがわたしのことを今でもかわいいと思ってくれますように」とささやきました。

  ドアが開き、ジムが入り、ドアを閉めました。ジムはやせていて、生真面目な顔つきをしていました。かわいそうに、まだ22歳なのに —— 彼は家庭を背負っているのです。新しいオーバーも必要だし、手袋もしていませんでした。

  ジムは、ドアの内で立ち止まりました。うずらの匂いにじっとしている猟犬と同じように、そのまま動きませんでした。ジムの目はデラに釘付けでした。そしてその目には読み取ることのできない感情が込められていて、デラは恐くなってしまいました。それは憤怒ではなく、驚嘆でもなく、拒否でもなく、恐怖でもなく、デラが心していたどんな感情でもありませんでした。ジムは顔にその奇妙な表情を浮かべながら、ただ、じっとデラを見つめていたのです。

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