Tuesday, October 12, 2010

駅で制服

世の中、顔と名前が一致しないことがあります。
  電車の中で背広姿の紳士に挨拶されて、顔はよく見るけど、その人がどこの誰だか思い出せない、ということがありました。翌日、駅で制服を着て、赤いラインの帽子をかぶっていて「駅長」だと気づきました。職業上の制服と私服など、間違いのもとです。
  ある時、恥をかいたことがあります。
  会社の部長と歩いていると、知り合いの人に、ばったり出会い、
  「いや、どうもご無沙汰しております。お世話になりっぱなしでどうも。」
  と挨拶されました。私は誰だか思い出せません。
  部長は、ニコニコしながら、
  「須藤君、どちらさんでしたっけ。」
  こちらは、確か取引先のそれも古い担当者だった、としか覚えておりません。おどおどしていると、「随分前ですが、こちらのほうへ変わりまして。」
  と名刺を出され、ことなきを得ました。
  この後、部長に面白い方法を教わりました。部長は、大勢の部下を持っていますが、一人一人覚えているわけではありません。
  「部長お元気ですか、ご無沙汰いたしております。」といわれると、即座に
  「いやーしばらく、ところで名前はなんといったっけ。」
  部下は名前を忘れられたことに気を悪くし、
  「私、どこどこの山田です。」
  というと、部長は切り替えします。
  「山田君知っているさ。名前だよ、名前のほうはなんだったっけ。」
  「二郎です。山田二郎です。」
  「そうだそうだ二郎君だった。うんそうだった。」

No comments:

Post a Comment